殺伐とした日々に

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☆☆☆ 「父上っ!!何故行けないのですか?」 僕、ヴィントはイリノウ王国の王である父と口論していた。 「駄目なものは駄目なのだヴィン諦めなさい。」 父、ユーロスは厳しい口調で言った。 「父上。せめて一週間でいいのです。留学は諦めます。日本にお忍びで旅行させてください。」 僕は父に必死に懇願した。 何故なら、この国にいてはむりやり結婚させられてしまう。 今、僕は21歳だ。そろそろ高齢お世継ぎが欲しいのだろう。 確かに僕はこの国の次期王であるのだから仕方がない。しかし…僕は自分で好きになった人を妻にしたいんだ。 一生の伴侶を中途半端な気持ちで選びたくないんだよ。 こんな僕の気持ちが母上には通じたらしい。先程まで一言も発しなかった母上が、 「わかったわ。一週間気晴らしに行って来なさいな」 と、言った。 当然父上は反論したかっただろう。しかし父上は婿養子。母上はセリーヌ女王なのだから父上は反論出来ない。 僕は母に 「ありがとうございます。」 と、久しぶりに心を込めて言った。 「ヴィン待ちなさい。」 一礼して部屋に戻ろうとすり僕を母は呼び止めた。 「シェルを連れて行きなさいよ」 シェルとは僕の昔からの世話がかりだ。 「分かりました」 本当は嫌だったが仕方ない。 連れて行くことにした。
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