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そして、今日から夫婦二人で新の屋敷に住むことになった。
「私は普段は山のふもとの家に住んでいます、昼間だけ新さんの食事や、屋敷の家事や街へ出て日常品などの買い出しなどをしております。何かあればいつでもお申し付けください」
この屋敷には、篠子さんを覗いて新一人しか住んでいないそうだ。
「こんなに大きくて綺麗で立派なお屋敷なのに、もったいないです」
「そうよね」
荷物をクローゼットに移して、篠子も買い出しに出掛けた為、一人になった立夏は部屋を出た。
赤い絨毯が満遍なく敷かれた大きな廊下を渡る。
ふと窓から屋敷の入口を見下ろすと、見知らぬ茶髪の男と新が向かい合っていた。
「新妻を拝みに来たんだけどなあ」
「帰れ」
「はーい、明日も来るね」
主治医である城島は白い乗用車に乗り込み屋敷、出て行った。
新が屋敷の中に戻ると、階段の方で立夏が立っていた。
気にせず書斎へ戻ろうとすると、その後を立夏はついてきた。
「新さん」
どんなに呼び掛けても、どうしても振り返らない。
「あの、お茶一緒に飲みませんか?実家から持ってきた新茶です」
「結構だ」
そう言って新は書斎へ入っていった。
「わたし、嫌われてるんでしょうか」
立夏は一人しゅんとしていた。
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