箱庭恋愛のススメ

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* 立夏が新の屋敷に来て3日が過ぎた。 相変わらず三食を一緒に食べる時しか顔を合わせず、家庭内別居のようなすれ違いの日々が続いていた。 「お風呂はすごく大きくて気持ちいんだけどな」 黄金のライオンの像からお湯が沸き出していて、立夏の実家の風呂の5倍はある面積の、ほぼプールのような風呂を毎日貸切状態で使えるのは嬉しかった。 篠子が気を利かせて、菖蒲湯にしてくれた風呂はとてもリラックスできた。 ふう、とため息をついて、これまた広い脱衣室に向かった。 すると突然悲鳴が聞こえた。 立夏はふと視線を上に移した。 そこには半裸の新の姿があった。 顔面蒼白にして、固まっている。 「きゃ、きゃあっ」 濡れた裸体を、立夏は咄嗟にタオルで隠して、腰を抜かししゃがみこんだ。 「鍵ぐらい掛けろ!」 新は叫んで、一目散に脱衣室から逃げて行った。 「あれ?新君、お風呂入るんじゃなかったの?」 リビングで篠子の淹れたコーヒーを飲みながら、白衣姿の城島は暢気に笑ってた。 「あら、お風呂には今、立夏さんが入ってるわよ?」 篠子は目を点にした。 新の瀕死の状態を目にして、城島は事を悟ったようだった。 「お風呂でバッタリっていうライトエッチなシチュ?」 城島は新の背中を擦って、笑っていた。
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