箱庭恋愛のススメ

7/14
前へ
/27ページ
次へ
「駄目だよ~、蓮見川家の長男として後継ぎをちゃんと遺さなきゃ。蓮見川家は亡ぶよ? しかも重症化し過ぎて、外出も儘ならないんだし、好きにならずとも克服しなきゃ? 言っとくけど、地球上の半分は女だよ。」 軽快な口調で城島は楽しそうに言った。 新はブツブツ小さくなって愚痴を溢していた。 「あ。あの。わたしも協力します」 立夏が笑うと、新は顔をあげた。 そしてまた、無愛想にそっぽうを向いた。 「ふん。――物好きだな」 「新妻ちゃんもそう言ってくれてるんだし、せめて、手を繋いでデートくらいできるように慣れないとね」 立夏には希望の光が差し込んでいた。 新の父は、この女性恐怖症の克服が目的でこんな荒手を使ったのだろう。 まだ正式に籍を入れた訳でもない。 この人の女性恐怖症を治せば、自分も自分の、祖父母の待つ故郷へ還れる。 そう思い付いていた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加