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箱庭恋愛のススメ
白いロングスカートを揺らし、大きな深い緑のスーツケースを引っ提げて、とある山中の大きな屋敷の前に少女は立った。
その扉の前で、スーツ姿の若い青年が一人立っていた。
少女は深々と頭を下げる。
「橘 立夏と申します。不束者ですが、よろしくお願いします」
「蓮見川 新だ、よろしく」
青年は淡々と無愛想に名乗った。
色素の薄い綺麗なグレイの瞳をしていて、立夏は思わずそれに見とれていた。
「立夏さん、お部屋に案内しますわ」
この屋敷の家政婦である篠子さんはにこやかに笑い、落ち着かない様子の立夏を二階へ誘導した。
青年は何も言わず去っていた。
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