†醒†

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深夜の天空を 銀の煌めきが揺らぎ游ぐ。 ―――――第6階層、神殿。 深夜にも関わらず、 未だ、明かりの点る 聖司官執務室。 昼の内に終わらなかった 書類の確認を続けるレティスと 祭りの前と当日に 不本意ながらロアの怒りを買い 大量の資料の山に囲まれる事と なったフィリル。 そして、 レティスを補佐する レティスの側近、兼、 前任の聖司補佐官。 「えーと…、レティス様方は、そろそろ離宮の方で、休まれた方が宜しいのではありませんか?」 フィリルが 流石に出しゃばり過ぎかと 思いながら、 時間が時間なだけに 控え目にレティス達へ 声を掛けると、 「私は前任の頃から、ここで残業する方が落ち着いていたから、気にしなくて良い」 柔らかな微笑みでレティスは フィリルに応じる。 「はぁ…、あ、いや、ですが、明日もありますし……、」 レティスが現役で 聖司官を務めて居た頃、 フィリルも当然、神殿に務め、 神殿内部の不正を調査する 右官と左官の内、 左官の長のであったが、 当時は 役職上の交流しかなかった レティスとフィリル。 「それに、私よりもお前の方が休みが必要だと思うが?」 明日への影響を気遣う フィリルに対し、 レティスは 個人の執務机に山積にされた 資料をしてし、 苦笑を浮かべる。 「あー、えっと、俺も慣れてしまいましたから……、」 不本意的に、諦めの口調で フィリルが応えると、 「すまないね」 フィリルに大量の残業を 与えたロアの、 教育係もあったレティスが 困った様子で謝罪する。 「えッ!?あ、いや、レティス様のせいではありませんよッ!!」 突然の謝罪に慌てるフィリル。
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