†起†

2/32
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/491ページ
朝日に照らされた 白石の輝きが美しく、 白く揺れる朝靄に沈む 荘厳な建物。 ―――――聖殿。 聖域の中心の地に 広く広大な敷地を広げ、 外との境となる境界線は 何もなく、 ただ、 正面入り口を兼ねる聖本殿、 聖主執務室のある聖棟、 五つの居住棟を使い 七芒星の結界の陣を描き、 敷地の中央に 聖央塔が聳え建つ 聖界に於いて最も神聖な地。 聖主の直系と 聖主に許可を与えられた者しか 立ち入る事も住まう事も 出来ない場。 一週間の七日目となる 休暇日。 神殿等の組織に勤める者達も 多忙な役職を一時的に離れ、 一日を過ごす日の朝。 ロアが朝の気配を感じて 目覚めると、 そこはクロアの腕の中。 聖殿にある ロアの管理する居住棟。 そのロアの寝室の 向かいとなる位置にある クロアの私室で目覚めたロア。 ロアの寝室と同じ壁紙に 広い空間の室内。 入口から左斜め奥の 窓辺に寄せられた 天蓋の無い広い寝台、 寝台の近くに置かれた机、 机の隣に据えられた書棚、 寝台の足元となる 離れた向かい壁に 設えられているクローゼット、 部屋の中央の応接室セットと 一つの部屋に 一揃いの家具が 揃えられている部屋。 聖域を出る条件として、 月に最低一度は必ず 聖域、聖殿へ戻り、 数日間は 留まらなくてはならないロアは、 常に休暇日を聖殿で過ごす 初日として利用し、 月に一度、三日間だけ 聖殿に留まるようにしており 休暇日の前日となる昨夜に 聖域、聖殿へ戻り、 クロアの私室で 恋人としての一夜を過ごし 朝を迎えていた。
/491ページ

最初のコメントを投稿しよう!