†朧月†

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ロアに上着を貸し、 薄手の白シャツに 軽く腕を組んだ状態で俯き 熟睡している姿。 『起き………ない……?』 ロアは暫くの間、 クロアの膝に頭を乗せたまま 下から寝顔を見詰め、 クロアの様子を伺うと ゆっくりと慎重に起き上がる。 ロアがクロアから離れても、 本当に珍しく 全く目覚める様子の無い クロアに、 ロアは気配を殺して 芝生に両手を着きながら 軽く身を乗り出し、 クロアの寝顔を覗き込む。 『…………疲れた顔を……している…?』 普段ならば、 ロアが目覚めると 既に起きているか 直後に眼を覚ますかのクロアが 全く目覚めない理由を 内心で呟く。 数ヶ月前から週に一度、 中間界に降りる務めも負い始め、 側近と聖司補佐官に 中間界での監視の任と、 果たさなくてはならない務めが 増え、 まだ、慣れない日々の調整に 流石に疲労の色が僅かに滲む クロアの寝顔。 息を殺して見詰めていると ロアの耳に微かに届く寝息。 それを耳にしながら ロアはクロアの寝顔に 魅入ってしまう。
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