†朧月†

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長い睫に切れ長の目許。 整った鼻筋に唇。 眠っている時も 涼やか印象が消えない クロアの姿。 深藍色の髪が風に揺れ、 前髪が落ち掛かり 艶のある陰影が 普段は隠れている男の色香を 醸し出す。 「…………………………、」 無意識に クロアの頬に触れそうになる ロアの手。 『ッ!』 その手がクロアに触れる寸前で 圧し止まり、 『な………なんだッ!?』 頬に微かな熱を感じながら俯き、 『……触……りたいなど……いつもの触れているだろうが…』 ロアは 訳の分からない衝動に混乱する。 俯く寸前に視界に入った 開襟の白シャツから覗く 鎖骨と首筋。 鍛えられた上体と素肌。 クロアの…、 恋人の寝顔に沸き起こる衝動。 『なん………、何なんだ…………これはッ………?』 胸に走る動悸と 訳の分からない羞恥の熱。 『口……付けたいなど………クロアを起こすだけだろうが』 クロアの正面に座り込み 浮かび上がる衝動の考えに 否定の言葉を繰り返す。
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