†朧月†

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無防備なクロアの寝顔を 見ていると、 触れたくて、 寄り添いたくて、 口付けたくなる。 ロアには理解できない 愛しさから沸き起こる欲情。 訳の分からない混乱を抱え 胸を抑えながら 再び、クロアを見詰めると…、 「お前ッ!?ッ!!」 ロアの驚きの声。 「起きッ!ッ!!」 直後に クロアの腕に引き寄せられ、 「謀ったな!?」 「悪い」 ロアはクロアの腕の中で 怒りの声を挙げた。 ロアが再び、 クロアを見詰めた瞬間、 僅かに笑ったクロアの口許。 「離せッ!」 「離せば逃げるだろ?」 「当たり前だ!ックロアッ!!」 「こんなに愛らしいお前を、離せる訳がないだろう」 「愛、ら……ッ?…何だ、それはッ!?」 クロアの腕に抱き締められ 真っ赤になりながら 抗議の声を挙げるロアと 抗議の声を挙げても クロアの腕から 逃げようとはしないロアを しっかりと 胸に抱き締めたままの クロアとの言葉だけの攻防戦。 クロアがロアの気配を感じ 目覚めた時、 うっすらと 瞼を開いた視界の中に居た ロアは、 好奇心に満ちた眼差しを浮かべ 身を乗り出し クロアの様子を覗き込み、 不意に触れようとした手を 圧し止めたかと思うと 頬を紅く染め俯いていた。
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