†朧月†

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そのまま、 クロアの正面に座り込み 羞恥を宿す表情で戸惑い 胸を抑え、 泣きそうな様子で動揺し クロアの様子を上目遣いに 見詰めようとしたロアは、 言葉にならない程の 愛らしさだった。 起きた間合いもあり、 直ぐに眼を覚ます訳にもいかず 頃合いを見ていた クロアだったが、 我慢できずにロアを抱き締め 今もクロアの腕の中で 納得しきれない様子で        コメカミ 抗議するロアの顳に 宥めるように口付ける。 すると、 「そんな所に口付けるくらいなら、ちゃんと唇にしろッ!」 何故かロアから向けられる 不満の声。 思わずロアを見詰めると、 ロアは不服そうに クロアを見詰め返し、 「勿体無いだろうが、」 「勿体無い?何が……」 「お前との口付けを交わす時が減る」 正々堂々と まるで胸を張るかのように 言い切り、 心持ち拗ねた様子で クロアを真っ直ぐに 見詰めてくる。 愛らしいとしか言えない ロアの仕草に、 無自覚だと分かって居ても、 「ッ!」 『まずい!』 クロアを襲う欲求の衝動。
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