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口付けだけでは済まされない
渇望の欲。
『抑えろ!』
思わず、ロアから視線を反らし
己と葛藤するクロアに、
「クロア?」
怒りを一時的に納め、
不思議そうな眼差しで
問い掛けて来るロアに、
更に煽られる欲望。
無垢としか言えない白月の瞳に
恋人としてのクロアを
疑う事を知らない、
恋情に於てはまるで
産まれたばかりの
雛鳥ような、
-ロア-
初な心を垣間見せる最愛。
「その…、」
「何だ?」
「すみません」
「急にどうした?」
唐突に
側近の口調になったクロアに
ロアは訝しげな表情を浮かべ
小首を傾げる。
「今、口付けたら歯止めが効かなくなります」
ロアの押しに負け、
素直に降伏するクロアに、
「今更だろうが、」
あっさりと
クロアの努力を無にする
ロアからの返し。
「…………………………、」
『何を……どうして…どこを間違ったんだ、俺は…、』
ほんの少し、
頭を抱えたくなる衝動に
今更な反省の呟き。
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