†朧月†

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クロアの視界の中で 風に揺すられた         フ  オ 百日紅の白花が降り降りる。 まるで、 春の始まりに降る 風花のように…、 暖かな陽射しの中で 淡く溶け込むような 朧月を連想させる クロアの恋人。 「昼間なので、口付けだけで我慢します」 「なん……ッ……ん………、」 クロアからの降参に 呆れたロアの呟きは 口付けの甘い吐息に消え、 泡沫の夢のように 甘い恋人達の午後の始まり。 百日紅の雪が降る 若草、馨る新緑の中庭。 風に揺れる銀月の髪。 重なり合う唇に 朧月の恋人を抱き締め、 深藍の夜は 幸福な愛に満ちた口付けを 今宵も交わそう。
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