眩惑

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「死霊の腹心が撲殺か…」 遥か眼下で暴れる魔族の動向に目を向け、リンは思案するように呟く。 死霊関係で¨彼¨の仕業であることを懸念したが、¨彼¨の腹心であるモジュール・カルトボンヌ(通称:モジンヌ)があの魔族を迷わず殴殺している所を見ると、どうやら¨彼¨──死霊の王の玩具(所有物)ではないようだ。 「…もっと魔術的な要素が強いのかな……。」 ひとりごちつつ、もう用は無いといわんばかりに踵返しかけた時だった。 「!!」 ビリビリと凶悪な殺気がリンの周囲を包む。 「しまった…長居をし過ぎたか。」 声の調子を崩さず呟くと、目の前には長身の男の姿。 銀の髪の隙間から赤い眼光を放っている。 「テメェかぁ?あんなゴミを送り付けて来やがったのは…。」 「そのゴミとやらの為にまさか王サマ自らの出てくるなんてね…。」 おぞましい殺気を放ちつつ、楽しそうな笑みを浮かべる死霊の王ことハザード・ゾンビとの対面にリンは臨戦態勢を取らざるを得なかった。
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