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「良いでしょう」
「「近藤さん!?」」
「ただし!!」
慌てた二人を遮るように、近藤は声をあげた。
「こちらも正直に事情をお話しましょう。
その代わり、あなたも嘘偽りなく答えていただきたい」
「何言ってんだ近藤さん!?
公務だぞ!しゃべれるわきゃねえだろ!!」
「トシ」
土方の訴えを近藤は低い声で制した。
「相手に誠意を求めるなら、此方も相応の誠意を示さなければならない。
そうだろ?」
近藤はニッと笑うと、土方と沖田の頭を諫めるように軽く叩いた。近藤の言葉に、二人も渋々引き
下がる。
そんな二人の様子を、西郷は目を細めて見ていた。
「…決まったかい?」
「ああ。
全部話した上で、助力をいただきたい」
土方はそういうと、発端となった事件から現在まで調べがついた
ことを全て話した。
時々山崎の追加報告を交えながら攘夷戦争当時の“正確”な資料を必要とした経緯を話す。
西郷はただ、黙って頷くだけだった。
「…つまり、攘夷浪士連中が、
元攘夷志士を使って、何か起こすかもしれないってことかい」
土方が頷くと、西郷は腕を組み、考え込むようにソファーに寄りかかった。
「原因がわからないから止めようがねえ。
本人達と交渉しようにも、何も
知らされてない俺達じゃ、望みも薄い」
「なるほどねぇ…」
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