はじまり

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「まず、戌威星のやつらがこの星にやってきたときの話さ」 真選組の面々は、一般常識として知り得る限りの知識をひっぱりだした。 万事屋の子供達は、新八は常識だというようにうなずいているが、神楽はもうすでに一度きいているとはいえ、まだそのことについて思う所はないようだ。 「たしか、大砲ぶっぱなして開国させちまった、一番最初にこの国にやってきたやつらだよな」 西郷は首をふると、まるでものを知らない子供に向かうように笑った。 「大砲ぶっぱなして開国させちまった、ってのはその通りさ。 だけど最初に来たってのは間違いだよ」 「えっ?」 新八は意外さに目を丸くする。 カッパのことを西郷が知っているとは思えない。 それに、だとしたらなぜ、幕府はその時に開国しなかったのだろうか。 その答えは、すぐに西郷の口からもれた。 「天導衆さ」 その場にいた誰もが息をのんだ。 新八はチラリと銀時をみたが反応はない。もしかしたら、攘夷戦争 経験者にとってはあたりまえの ことなのかもしれなかった。━━━━━いや、銀さんだからこそ。 「…その奴さん等はなぜ実力行使に出なかったんです?」 「まだ時期じゃないと思ったんだろうね。とりあえずは平和的にこじ開けようっていう寸法だったのかもしれないが」 「時期じゃなかった…?」 すると西郷は壁を━━その向こうになにか見えるかのように見た。
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