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「ターミナルだよ」
そう、それは江戸で最も大きく、それでいてどこか歪な建物。
そしてその建物は、かつて定晴のいた神社があった場所。
そこにいる巫女は、何か言って
なかっただろうか。
たしかあそこは、地球の━━━━
((龍穴!!!!))
新八と神楽は思いついた考えに
ゾッとした。
真選組の面々をみても、何かに
気づいた様子はない。
言うべきかどうか迷ったが、
銀時は相変わらず黙っている。
大将が黙るなら、自分達も何も言うべきではないと、二人は目を合わせ、口をつぐんだ。
「あ?船の発着場所が必要だってか?」
「ま、そんなとこさ」
西郷は万事屋の子供達の様子に
気づいていた。
(まあ、賢い子供達じゃないか、銀時。
きちんと場を弁えてる。
幕臣の前で言って良いことと悪いことの区別はつくようだね。
特に、こういうやつらの前では━━━)
西郷は目立たないほど小さく口角を上げた。
「あれはただのターミナルじゃない。いざというとき、自分の星の軍団を呼び寄せることができる。
つまり今この国には、守るべき領域をいつでも好き勝手できるよう、この国のことなんて何も考えちゃいない奴等の拠点が、建てられちまってるってことさ」
「そして、それを牛耳っているのが天導衆ということですかィ?」
「ああ」
それから西郷は、間をとるようにだされていたお茶を飲む。
聞いていた真選組の面々も万事屋の子供達も、そんな大物天人がこんなにも早くから関わっていたことに驚いていた。
西郷が再び口をひらく。
「戌威族を焚き付けてこの国を
開国させた奴らは、まず、この星の資源を運ぶルートを開拓させ、一切の利潤が天人にいくような
システムを作りあげた。
幕府は弱腰になりさっさと開国。朝廷ももはや天人のもの。
危機感を抱いた一部の知識人や
血気盛んな自称革命家が攘夷戦争を起こした」
そう、そこまでは教科書通り。
ターミナルの意味には驚いたが、まだ、当時を知るには不足している。
「…西郷さんよ。そろそろ教えてくれねぇか?
あんたら元攘夷志士が、当時何を感じ、どんな生き方をし、今に至るか」
土方の口調からは焦りが見受けられた。
しかし西郷は大きく息を吐き、
ただ茶の水面のみをみていた。
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