第1章

6/10
前へ
/15ページ
次へ
「銀ちゃーん。客の野郎来ないアルよ」 「こらー。お客様に対して野郎とか言わないの。 お客様は神様で、お金は仏様なんだから」 「アンタが一番ダメなんですけ ど」 あまりにもやる気のない光景だった。 そんな万事屋に、一つのチャイムが響き渡った。 「とっつぁんお願い」 「はいはい、わかりました。 只今、只今」 玄関を開けると、そこには土方と近藤と沖田と山崎がいた。 ちなみに何故沖田がいるのかというと、情報収集兼、見廻り兼、サボりの沖田を見つけた土方がどうせサボるならばと連れてきたのである。 「おうおう。大所帯で税金泥棒がこんなしがない万事屋になんのようですかー」 「おい万事屋。てめぇに聞きたい事がある」 「銀さんに聞きたい事…です か?」 「はい。攘夷戦争についてなのですが」 新八と神楽はハッとしたが、銀時は平然としたままだった。 「実は今、ある事件が起こっていてなぁ」 真選組は銀時に事情を話した。 話している間も、銀時の態度は変わらず、机に足を乗せた面倒臭そうな格好のままだった。 「…という訳で、まず当時の事を調べてるんだ」 「んだよ。それくらい自分で調べろや」 「事情があって当時の資料は殆どないんですよ」 「だからってなんで俺が」 「頼む!万事屋! 礼ははずむから!!なっ!?」 「…」 実際問題、万事屋には金がない。というか常に金欠だ。 そういう理由を踏まえて、金の方に傾くのが万事屋クオリティである。 「個人情報は教えらんねぇぜ? つけ回されるのは勘弁願いてぇからな」 「ああ。大まかな情報で良い」 「…いいぜ。といっても、俺が参加してたのは後半だからな。 最初の頃は別の人間に訊くしか ねぇ」 「あてがあるのか?」 「本人が了承すればな」 そう言うと立ち上がり、電話機の方へ歩いて行った。 そして何処かへ掛けるのか、ダイヤルを回した。少しすると繋がったらしく、一言二言話すと電話を切り、元の場所へ収まった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加