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先へ進むに連れて、だんだんと空気が悪くなり、死体やものごいの数が多くなり草木は枯れて住むことすら出来ないであろう現状が目につく。
「ここは最悪な町のようだ…。」
少年はしばらく歩き続けると、ある一軒の店らしきものの中へと入っていった。
そこは外とはうってかわって小綺麗で、先程の光景が嘘のようにすら思えてくる。
その店のさらに奥。
少年は扉を軽くノックすると返事を待った。
「入れ。」
しばらくして、どすのきいた声が中から聞こえてきた。少年は従い中に入る。
「ようこそ。ハウズィーラーの店へ。」
片眼を眼帯で隠した丸坊主の大男がニヤリと笑みを浮かべた。少年は顔色ひとつ変えず大男を見据えた。
「仕事をもらいに来た。手頃なのはあるか。」
淡々と言葉を紡ぐ少年に大男は肩を竦める。
「おいおい、お前さん。この前やった仕事はどうした。怖くて放り投げたか?」
大男は笑いながら持っていた紙の束をテーブルへと撒き散らした。紙には写真や文がところせましと並べられていて、よく調べあげられていることが容易に想像できた。
「仕事なら終わった。」
懐から深紅に輝く鉱石を取り出しながら、少年は呟いた。予想は出来ていたのか大男は口笛を吹いておどけた風に首をかしげて笑った。
少年は気にせづ、テーブルに散った書類から手軽な仕事を探し始めた。
お金がなくては生きていけない。これは自然の摂理であり、決められたことである。だからこそ、こうやって依頼を受けて仕事をするという形でお金をためているにすぎない。
少年は比較的簡単で報酬が高い仕事の資料を取り上げると、大男の前に差し出した。
「この仕事で間違えないのか。」
大男が聞く。
少年は頷いた。
「了解した。」
大男はニヤリと笑った。
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