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「はいはい、解りましたよ。危なかったら俺が止めろって事ね」
「洋斗って、物分りが良いから大好きだよ」
「……なんかそれ、本格的に“俺がペット”扱いじゃねぇか」
疲れた様にシッシッと追い払う様な仕草をされる。それにアハハと笑い、虎は俺の手を引いた。
「こっち来て。……こっち、風紀委員の休憩室だから。ゆっくり話せるよ?」
「ああ」
そうか。そう言えば、萬部にも休憩室があったしなぁ、と考える。
正しあそこは部室が乙月専用になってしまって居る為、ほぼ休憩室側に部員が集る事が多かったのだが。
一応、千里が部長の時は、疲れた時や仮眠を取りたい時に使用されていたけれども。
そんな事を思いながら、俺は虎が扉を開くのをジッと見守る。
しかし、ふと――背後から視線を感じて、そちらに目線を向けると、洋斗が机の上に置いた飴玉をコロリと転がし、目を伏せるところだった。
(飴……)
その彼の行動で、ああ、と俺は思う。
そういえば‥彼に飴玉を貰って居たのだと。そして彼の行動からするに『警戒をしておけ』という事なのだろう。
洋斗から目線を外し、俺は一応解った、と制服のポケットを叩いた。
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