Ⅰ、覚悟

7/13
前へ
/69ページ
次へ
「はいはい、解りましたよ。危なかったら俺が止めろって事ね」 「洋斗って、物分りが良いから大好きだよ」 「……なんかそれ、本格的に“俺がペット”扱いじゃねぇか」  疲れた様にシッシッと追い払う様な仕草をされる。それにアハハと笑い、虎は俺の手を引いた。 「こっち来て。……こっち、風紀委員の休憩室だから。ゆっくり話せるよ?」 「ああ」  そうか。そう言えば、萬部にも休憩室があったしなぁ、と考える。  正しあそこは部室が乙月専用になってしまって居る為、ほぼ休憩室側に部員が集る事が多かったのだが。  一応、千里が部長の時は、疲れた時や仮眠を取りたい時に使用されていたけれども。  そんな事を思いながら、俺は虎が扉を開くのをジッと見守る。  しかし、ふと――背後から視線を感じて、そちらに目線を向けると、洋斗が机の上に置いた飴玉をコロリと転がし、目を伏せるところだった。 (飴……)  その彼の行動で、ああ、と俺は思う。  そういえば‥彼に飴玉を貰って居たのだと。そして彼の行動からするに『警戒をしておけ』という事なのだろう。  洋斗から目線を外し、俺は一応解った、と制服のポケットを叩いた。 .
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加