第一章

2/6
前へ
/8ページ
次へ
雲ひとつない大きく広がった空を見ながら先生の声を右から左に受け流す。 指の先で回していたペンが床に落ちるまで私は空から目を逸らさなかった。 「はい。これ」 「ありがとう」 隣の席の子が拾ってくれたようだ。 佐々木 智恵(ササキ チエ) 平凡な高校2年生の17歳 4月の早生まれだからみんなよりは早く年をとる。 胸のあたりまで伸びた髪の毛は茶色で毛先だけ癖がある。 二重の目はみんなから少し違う茶色、そしてすっとした鼻。 唇はピンクというか、赤に近い。 「はい。今日はここまでなー」 「「ありがとうございましたー」」 長かった古学の時間も終わり、もう帰る時間。 部活に行く子もいれば、バイトがありすぐ教室から出る子もいる。 その他は遊ぶ相手を探すため教室に残っている。 正直言って私には親友と呼べるような友達がこの学校にはいない。 だからと言ってみんながみんが、上辺だけの友達ってわけでもない。 「ねー、智恵!これから暇? 遊ばない?」 私に話しかけてきたのは、神埼美亜(カンザキ ミア) 可愛い顔を持っていて、いつも笑顔の彼女はみんなからの人気者。 ――――だけど私は彼女の裏の顔を知っている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加