第一章

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次の日学校に行くとみんなからの視線が突き刺さった 「ほら、あの子だよ。直樹を自分勝手な理由で振ったって。」 「えーなにそれ!最低じゃん!直樹かわいそ~」 元からそういう影でしか言えない人のことを無視してきた私はそんなのどうでもよかった。 だけど、教室に入ると私は言葉を失った。 ロッカーの中に入れておいた英和と国語辞書、そして数学やら科学の教科書がびりびりに引き裂けれて机の上に無残な姿で置かれていた。 『あれぇ?もしかして泣いちゃう?』 『あはは!かわいそう~』 教室のあちこちから聞こえる甲高い声。 私はこんな風にでしか人の心を傷つける人が大嫌いだった。 だからと言ってここで泣くのも私のプライドが許さない。 だから私は何事もなかったように無残な姿で置かれている紙切れを綺麗に一つの袋に入れて鞄の中にしまった。 「おっはよ~!」 静かだった教室に直樹の声が響いた みんなが直樹のほうを向く。もちろん私以外のみんなが。 『ねぇ直樹ぃ~。智恵に振られたってぇ? あんな酷い子別れて正解だよぉ』 無駄に語尾が長いなこの人。 「は?お前ら智恵になにやってんだよ」 いつもより低い声で怖い顔をしていた直樹が私に近づいてきた。
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