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まだ肌寒い春の風が、音を立てて流れていく。 白い雲が足早に通りすぎ、桜の淡いピンク色が真っ青な空に溶けていた。 屋上で寝転んでいた僕の視界に、ピンクと青と君の不思議そうな顔が飛び込んできた。 「なにしてるの?」 ただでさえ風が強いのに、屋上にいたら制服がバタバタと持っていかれそうに、なびいていた。 君は前屈みになるから、後ろから見たらスカートの中が丸見えなんじゃないかと、ボーっと思った。 少し横になるつもりが、どうやら寝ていたらしい。 「別に」 そっけない返事。 そうじゃなくて、もっとなんか…。 「あっそう」 言葉を付け足そうと口をついて出る前に、君が遮る。君もそっけない返事。 君はスッと顔をそらす。 思わず体を起こした。 「そろそろ帰る?」 また風が強くなって、バタバタとうるさい。 君は髪とスカートを押さえて、大きめの声で言う。 僕は了解の意を込めて、立ち上がった。
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