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初めて見る君だった。 すがるような、泣きそうな目で僕を見る。 あの日見た強く美しい君ではなかった。 僕は僕の中で勝手に「あの日の君」を作り上げていたのかもしれない。 だとすれば、僕は何も分からなさすぎた。 知らなさすぎた。 君が何に怯え、何に悩んでいたのか。 自分のことで精一杯だった。 卑怯者で、我が儘で、自分勝手。 だけど今ならそんな僕を君は、笑って許してくれる。 本気でそう思った。
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