1

6/10
前へ
/37ページ
次へ
帰り道、二人並んで歩く。 もう夕日が薄く色あせている。 足元には散った桜の花びらが無惨な姿で横たわっていた。 「あのさぁ、別れない?」 突然、僕の口から言葉が零れた。 今、何を言ったのか。 何故そんな言葉になったのか不思議でならない。 そうじゃない。 僕は君みたいになりたいのに…。 訂正しようにも、何て言ったらいいのか分からない。 横で歩いてる君の顔すら見れない。 「うん。分かった」 そっけない返事。 これで良かったんだと錯覚させられるくらいに。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加