scene004

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人は本当に驚いた時全ての機能が停止するようだ。 例えば車に引かれそうな時。例えば殺人鬼にバッタリ会ってしまった時。例えば自分の部屋で渚が料理をしていた時。 そして今僕が実際にそれを体験しているわけだが……人間って本当に不思議だ。驚愕すぎて反応仕切れない。 「あ、おかえり」 「……」 原因は特に何の感情を出す訳もなく、僕を迎えた。 この人は僕の部屋で何をしているのでしょうか。部屋中を覆っているのはカレーの美味しそうな香り。 「…何してんですか?あんた」 「夕飯作り」 「ここ誰の部屋か知ってます?」 「お前の部屋だろ?」 分かり切った事を聞いて何を言ってるんだ?みたいな小馬鹿にした笑いに眉を顰める。 「どうやって…」 入ったと続けようとしたら僕の心を読み取ったようにカードキーをチラつかせる渚に更にムカつく。
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