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警戒していたことを見抜かれた事が癪で､渚の纏う空気や言葉に乗せられカレーを食べてしまう自分が不甲斐なかった。
口に含んでしまったカレーをゆっくり咀嚼し､味を確かめながら飲み込む｡
｢口にあったか?｣
｢とても普通の味です｣
歪む表情で渚の機嫌が傾いたことが分かったが味は『可もなく不可もなし』だ｡どこにでもありそうな普通のカレーの味だった｡
｢お前さぁ…もっとなんか感想とか無いわけ?俺が人に手料理ふるうとか貴重だぞ?｣
｢そうですか､それはわざわざ僕の部屋に不法侵入までして作っていただき､ありがとうございました｡というかカレーなんて誰が作ろうが大抵こんな感じでしょうが、まぁたまに自炊するくらいなら､まあまあなレベルですね｡…こんな感じで良いですか?｣
｢劣化してるじゃねぇか｣
眉を器用にピクピクと動かしながら喋る渚を後目に普通のカレーを食べる｡
で、一体この人は何をしに来たんでしょうか?
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