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「食事の途中だが怜がそこまで本題に早く入りたいと言うなら仕方ないな。まぁまずは…」
そんなに幾つも話す事があるのかと沈んだ気持ちに気付きながら渚から渡される数枚の紙に視線を落とす。
「これ」
「間違いを直して顧問が修学旅行から帰ってきたら出しに行け」
本当に事務的な言葉と馬鹿みたいなミスを繰り返している書類に情けなさやら恥ずかしさやらで脳内ぐちゃぐちゃになった。
「まぁお前は」
「すみません!!最近気が抜けていたのかもしれません。こんな」
ポンと何かが頭に乗っかる。混乱したのは一瞬でその温もりは、身体が覚えていた。
「お前力入りすぎ。間違いくらい誰でもするし、ほら神田とか」
「…菫と一緒にしないでください」
身を乗り出してまで慰めてくれているらしい渚を睨み付ける。照れ隠しだと自分で分かってはいた。
「…迷惑を掛けてしまい、すみませんでした。公私混同は慎みます」
もうだめだ、空回ってる自分がダサい。
置かれている手はそのままにして、テーブルにうなだれた。
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