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僕の唇を指の腹で撫でていた渚が、いきなり僕の顎を固定し更に近付いてきた。舌舐りをした渚が妖艶過ぎて目を離した瞬間喰い付かれそうだと警告している。
「…じっとしてろ会長命令、な?」
今の状況に不釣り合いなくらい優しい声が耳許で囁かれた。
僕に黒い影を覆わせる彼はゆっくりとした手付きで体重を掛けていく。
状況把握が追い付かない僕はされるがままにソファーに押し倒された。
危険だと煩いくらいの警鐘には気がついているが、思考が働かないだけなのか逃げようという気にならない。
「ん、」
軽い口付けが数回。その行為が終わると僕を窺うように顔を離す。
「…何考えてる?」
それはこっちの台詞だとこの空気に当てられボーっとする中思った。
いまいち自分の置かれている状況が分からなくて渚の行動も自分の無抵抗も不思議でしかなかった。
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