3270人が本棚に入れています
本棚に追加
/509ページ
「…何笑ってんですか?」
「いや、別に」
完璧に笑いが含まれている声質だった。フンッ鼻を鳴らし布団を被り渚に背を向ける。
「…保健室にちゃんと居ましたか?あの人」
「如月先生か?……いや、なんか誰かに連れてかれたって…」
「は!?大丈夫なんですか!それ!?」
あの人の事だからフラフラしてるのかと思ったら誘拐されているらしい。頭が痛くなってきた。
如月先生は綺麗な顔立ちをしているし、最近はあの抜けた性格が露見し始めているからか抱きたいと思う生徒達が急増しているらしく先生への歓声も変化がでてきた。悲しいことに本人に自覚なし。
それで今回誘拐とか……。
「大丈夫だ…あー…あいつが信用できる奴だと言ってたしな」
言いにくそうに言葉を逃したのは成瀬先生のことだろう。しかしそれでホッとしたのは成瀬先生の信頼している人だったら如月先生は大丈夫だろうと思ったから。ってなんで僕があの人の心配なんてしなくちゃいけないんですか?
「…なら安心ですね。何も考えずについて行ったのかと思いましたよ。あの人阿呆ですし」
「………本当に仲良くなったんだな」
意外そうな声が届く。
「違いますよ!ただあの人に何かあったら成瀬先生が悲しむでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!