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四方八方からの熱い視線は貰い慣れたが、気にならない訳ではない。
そんな視線に律儀に手を振っている隣りの菫を見て溜め息をつく。
さすがと言うかなんと言うか…全力で博愛主義者ですね。
それにまた歓声が広がって(主に甲高い声)耳を嫌に刺激してきた。
今僕たちは第一講堂の生徒会専用の席にいる。これから明日の一般公開の説明が渚によって行われるのだ。ただ注意事項を読み上げるだけなので会長だけでいいらしい。
「怜ちゃん怜ちゃんっ具合は大丈夫?」
美少女という言葉がぴったりと当てはまってしまう程可愛らしい子が僕の袖をクイッと引っ張ってきた。
ここは生徒会の人間しか入れないので当然彼も生徒会役員。役職は書記だ。
「大丈夫ですよ。…そんなこと誰から聞いたのですか織?」
「えっ?菫からっ」
大きな瞳で見上げてくる姿は流石、抱きたいランキング2位だ。しかし本人曰わく抱く方らしい。
「あーごめんねー副会長ぉ。でも秘密にすることでもないかなーって。織ちゃんも心配してたよねー?」
自分の親衛隊の子たちに手を振っていた菫が自然に僕たちの会話に入ってきた。甘い顔立ちはその緩い口調で更に色気を増している。
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