結末3「消失」

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 その抜け殻は、蛇のものとは思えない形をしていたのである。  君はこの前テレビ番組で見た、ユーマと呼ばれる生き物を思い出した。  そう、その抜け殻はツチノコの形をしていたのである。  そこまで考えた君は、彼女の正体がツチノコだったのだということに気づく。  そして、彼女の言葉が再び頭に浮かぶ。 『やっとお友達ができたと、思ったのに』  もし、あのとき、自分がセミを食べていたらどうなっていたのだろうか。  パラパラと崩れゆく抜け殻を手にのせながら、君はあの美しくも儚い少女に想いをはせるのだった。
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