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「よう、リカード久しぶりだな」
リカードは休暇が終え、自身の所属する傭兵ギルド『ソードランナー』に戻ってきた姿を見るなりすぐに声をかけてきたのは長い付き合いである同じ傭兵仲間、ボーマン。
その声を聞いてそばに居た他の者たちもリカードが戻って来た事に気がついたようだ。
「何か変わりは?」
「いいや特に無いな、つまらないが平和だったよ」
「そうか、それならいい」
「つまらないのが? 俺は嫌だね、つまらないのは」
他愛のない会話を交わす、休暇明けで積もる話も多々あるようだ。
そんな2人が話している所へやって来たのは1人の女。
「リカード、おかえりなさい!」
そう笑顔で迎えたのは少し長めに頭の後ろに束ねた髪が特徴的な女性、べリンダ。
彼女もリカードと同じ傭兵だ。
「今戻って来たところだ」
「休暇はどう? ちゃんと休めた?」
「ああ、十分だ」
それからは少しの間3人で談笑する。
土産はないのかとボーマンが騒ぎたてたり、べリンダがそれを嗜めたり、リカードの休暇の間のギルドの様子をリカードに話したり。
休暇明けで積もる話もあるようで話題は未だ尽きず。
しかしその盛り上がりも次の人物の登場でしばし中断される。
その時そこへやって来たのはリカード達と違い、どこぞの制服のような服を着たこれまた女、その格好からして傭兵と言う訳では無さそうだ。
彼女の風貌はその少々鋭い見る者を射抜くような眼つきも相まって、やや、冷たさを感じさせる。
名前はアネアス、このギルドの依頼の受領、傭兵への連絡など事務処理的な仕事をこなしている。
「リカード、戻って来てたのか」
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