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「嫌じゃ、じゃない。退いてくれないと起き上がれないだろ」
「おろ? 可笑しいのぉ……真也の下の方は起き上がり始めて……」
「変なこと言うんじゃない!」
「むぅ……仕方ないの……ほれ、退いたぞよ」
そう言いながら横に退く天照。
全く――朝から元気な奴だ。
俺は腹筋運動だけで上半身を起こす。
天照を見ると、女の子座りでこちらを見ていた。
――可愛い。
不覚にも一瞬そう思ってしまった。
改めて、こいつは神様だ。
見た目は俺と同年代の少女でも中身は老婆とか通り越して最早化石レベルだ。
何千年、何万年生きてきているか分からない。
それよりも長いかもしれない。
「真奈美がワシらの飯を拵えてくれとるぞ」
真奈美とは俺、真田真也(さなだしんや)の母、真田真奈美(さなだまなみ)の事だ。
「今日はワシの好物の豆腐の味噌汁じゃから早く下に降りようぞ」
天照はもうワクテカが止まらない様だ。
俺はハイハイと適当に返事をして大きく伸びをした。
天照はここ数ヵ月で最早家族の一員になるくらいに馴染んでいた。
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