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第1章 始まりと出会い
なんとか無事に人界にたどり着いた。美しい緑の森林が広がっている場所に転送されたみたいだ。魔法界の森林は毒々しい色をした草木が多く、こんな綺麗な森林をみたのは初めてだ。
「とりあえず、使い魔を召喚するか‥‥」
少年はアイゼック老師から受け取った鍵を懐から取り出し、腕を前に突き出した瞬間、小さな扉が出現した。
「‥‥ゲートオープン。解き放なたれよ‥」
バチッバチッと音を立てながら鍵が周り、カチャっという音が聞こえたときには辺りが霧に包まれた。
「‥‥やっと解放してくれたわね。アガート‥‥」
川のように澄んだ声が聞こえてきた。
「‥‥!?‥‥その声‥‥まさか‥‥」
霧が少しずつ晴れていき、その姿が見えた。猫だった。真っ黒な毛並みは流れるように整っており、首輪には等間隔に鈴がついていた。アガートはこの猫を知っている。知りすぎていると言えるほどに‥‥。
「‥‥アニス‥‥なのか‥」
「そうじゃなかったら誰に見えるっていうのアガート」
「ッ!!!」
アガートは全身が震えてしまった。
「あら、旧友との再会がそんなにうれしかったの?まぁ分からないでもないけどねぇ。ヴィクトリア魔法学校でいろいろと世話をしてあげたのはわた‥‥‥」
「嘘だああああぁぁぁぁ!!」
いきなりアガートが叫んだ。
「嘘だ!!嘘だろ!?嘘って言ってくれ!!これはただのドッキリで本当の俺の監視役は別にいますよってオチでいいから!お願いします~~!」
ギャアアアァァァ!!という悲痛な叫びが辺りに響き渡った。
「ウフフ。そんなに叫んでしまうほど嬉しいなんて使い魔の冥利に尽きるわね」
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