初めての

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「気をつけてくださいよ」 不機嫌な顔をした男の上司に怒られる。 勤めている今の会社……辞める時期かな。 「どうした?」 後ろから弾む声。 高橋良太だ。 「どうもしない」 私はツンと突き放すように答えた。 良太には彼女が居る。 だから気に入らない。 なんで私の恋人にならないの? 「辛かったら転職しちゃえば?」 言われなくてもするわよ。 全く。 「今日、辞表提出する」 「マジ……?」 良太が驚いている。 「私ね、ちょっとやってみたい事があるの」 やってみたい事……それは……漫画を描く事。 もちろん、プロ並みの。 「ふーん。頑張れ」 良太は少し微笑み、会議室へ向かって行った。 「言われなくても……」 言われなくても頑張るわよ……。
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