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その少女は、ライカンスロープの死骸の山を一瞥し、こちらを振り返った。
こちらを向くとその少女の幼さが際立った。
「(おいおい、マジか…こんな子供があれだけのライカンスロープの群れを一人で…)」
その少女はどう見ても12歳ほどで、幼年学校(6歳から15歳までが通う学校)に通っているはずの子供であった。
そして俺が話しかけようとした瞬間、その少女の背後に生き残りのライカンスロープが飛びかかってきた。
「アブねえ!!」
とっさに魔法を打とうとするが、魔装同様なぜか魔法が発動せず練った魔力が流れ出るだけに終わった。
「くそっ、なんでだ!?」
その少女は、俺の言葉で振り返ると、ライカンスロープを素手で殴った。
その結果は、わが目を疑うようなものだった。
ライカンスロープは吹き飛ぶことなく、少女が殴った部分を破裂させ絶命した。
そして、少女が殴るときに踏み込んだ場所はえぐれ、陥没していた。
「ははは…どんなバケモンだよ、あいつ…」
俺は、その光景が信じられず、ただ乾いた笑いを上げるしかなかった。
雷帝side end
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