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俺の祖父は、日本で5本の指に入る金持ちだ。財閥と言っても差し支えないだろう。
やたらでかい豪邸に住んでるし、使用人雇ってるし、別荘なんていくつ持ってるか分かりゃしない。
だからといって、俺や親戚筋は別段金持ちって訳でもない。祖父だけが金持ちなのだ。苦労して手に入れたものを、人に与えたくないとかなんとか…。
言い方が悪いかもしれないが、そんな祖父は親戚中から嫌われている。恩恵を受けられなかった祖父の身内(嫁とか娘とか)にも、だ。
そんな祖父が今、病気で床に伏せっているらしい。
祖父の侍医からそんな電話が来たとき、俺はかなり驚いた。
実を言うと俺は、結構祖父に可愛がられていた。孫で一番可愛がられてたのは多分俺。自惚れとかじゃなく本当に。
そんな俺だからこそ、祖父のタフさは重々認識していた。だから祖父が危篤だなんて、考えたこともなかったのだ。
「……で…、聞いてますか?」
「あっ、はい。聞いてます」
侍医からの電話なんかろくに聞いちゃいなかった。ただ、祖父が何故か自宅に親戚筋を全員呼ぶという話だけは、侍医が何度も言っていたから覚えた。
電話を切る直前も、来週絶対に祖父の家に来るよう念を押された。そんな重要なのか…?
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