事の始まり

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「…ぅあー…」 例の電話から7日後。この7日間、祖父の侍医から毎日念を押す電話が来た。 もう中学生じゃないし、さすがに目上の大人にこんなくだらないことでキレるというのは、俺的にとてつもなく嫌だったので、大人しく侍医の言葉を聞いていた。 ちなみに、祖父の家に行く今日の朝一番にも電話が来た。あれはさすがにキレそうになった。しつこいんだよホント。 昨日の夜中さんざん話聞いたじゃねぇか、荷物確認まで電話ごしにしたじゃねぇか。修学旅行前の親子みたいな会話を交わした記憶がある。 そんなこんなで朝一番…早朝4時にかかってきた電話を手早く切り、俺は祖父の家に行くために、わざわざ始発の電車に乗っていた。 俺の両親はというと、先週電話の内容を伝えた途端に、十何年遅れの新婚旅行の計画を立てだし、昨日家を出て行った。 もはや新婚でもなんでもないのだが、両親がいかに行きたくないかひしひしと伝わったので何も言わなかった。…止めることなどできなかった。 いや別に、親がいないと電車やバスに乗れないとかではない。単純に、祖父が危篤だというのにその子供が行かなくていいのかと。それに関して一応母に言ったのだが、対する母は、俺が行けば問題なし!の姿勢だった。 …と、俺は頭の中でここ数日の記憶をさらっていたのだが、これは意外といい暇つぶしになるな。次に降りる駅までもう少し、というくらいの時間は潰せた。 ………。 ……まぁ、この電車を降りたら、新幹線が待っているんだけどな…。 祖父の家、遠過ぎるだろ!!
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