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久しぶりに父さん母さんと、弟のマークと一緒に家族でゆっくり過ごせる日だと思っていた。
マークの誕生日だ。
その買い物がてら、城下街を離れた森の方へ散歩にきていた。
俺もマークも楽しみにしていた。
父さんは後ろから、ゆっくり俺達の様子を見ながらにこやかにしていた。
マークは楽しげに駆け足で先に行く。
「急に走ったら危ないわよ」
母さんが注意してるのに。
「大丈夫だよっ」
と、無邪気に。前も確認せずに走っていく。
その時、マークが大男にぶつかったのが見えた。
瞬間、マークが大きく弾かれたようになった。
「マーク!」
母さんはマークに駆け寄って覆い被さった。
何がおきたのか分からなかった。
マークを弾いたものは、大きな刃物だったんだ。
「エリザ、マークっ」
父さんが後ろから駆けてくる。
「なんてことをっ」
母さんが大男を睨みつける。
「何でだ。当たってきたこいつが悪いだろ」
「確かに子どもの不注意はありますが、それでこの仕打ちなのですか」
「わかったよ」
「何がです」
「お前も同罪ということがなぁ」
大男は笑っていた。
両手剣を振り下ろした先は。
「イヤァアっ!」
「な、母さんっ、マーツっ」
母さんも赤に染まっていく。血溜まりが広がっていく。
「そんなっ」
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