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「護衛兵さん、確認してあげて、彼のご家族を馬車に乗せてあげて」
「ですが、この少年が」
王子と名乗った子供が馬車から降りてくる。
「大丈夫だから、早く!」
「はっ!」
兵士二人はマークと母さんの元に駆け寄る。
王子は俺の隣に来た。
「ごめんなさい。ご家族がこんなことになってしまって、この国の責任もあるよ。本当にごめんなさい。せめて、君も城内にきてくれる? ご家族の近くに居てあげて」
「なんで」
「何?」
「なんで俺達がこんな目にあわないといけないんだよっ」
「そうだよね、ごめんなさい」
王子は俯いている。
「あんなに深い傷、助かる見込みがある? 絶対助けてくれるんだろうな」
「少年、その方はスノー国の王子だぞ、口の聞き方をわきまえなさい」
兵士に苦言された。
「別にいいよ。それだけ言われても仕方ないもの」
「ですが……」
「僕の事を思っての発言だよね。ありがとう。でも、いいんだよ」
兵士から俺のほうを向く王子。
「ええと、名前はなんて、いうの?」
「……マーツ」
「マーツ、絶対助けられるかは分からない。だから急ごう」
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