朝と今から

21/26
前へ
/671ページ
次へ
「許される限り、今のうちに心のままを言っておかなければ、後悔しますから」 王子の身体を後ろから抱きたくなって、包み込む。 「こうやって湯に浸かりながら一糸纏わぬルナールを抱けるなんて、思ってもいませんでした」 王子に触れるのも、湯に浸かっているのも心地よいな。 「僕もだよ」 じっとしていると、王子はぽつりと呟いた。 「その、身体の奥からマーツを求めてしまう程、こんなふうに好きになるとは思わなかった」 「ルナール」 嬉しい。 「マーツが思うより、僕はマーツを愛してるよ」 愛おしすぎて、今が幸せすぎて、切なくなる。 「そう言って貰えて嬉しいです。ルナール、愛しています」 「うん」 身体が熱い。 湯の温もりだけでなく、心や身体の中から熱くなってしまう。 もっと、もっと、王子を求めたくなる。 「のぼせちゃった。お風呂から出ようか」 「そうですね」 王子の身体を支えて湯船から出る。 王子は水滴を纏いながら、顔や身体が火照って白い肌に赤みがさしている。その姿が綺麗で、また見とれてしまう。 濡れ髪さえ綺麗に見える。
/671ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加