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「お、俺にも用事が。ソフィアやクレイ様に一礼しておいたほうがいいし、フローラ姫にも」
「急がなくていいよ。僕が昨日、二人にはちゃんと了承とったし。それにフローラに会うのは夕方だから。それまで僕と居て」
「わ、分かりましたから、朝食は食べましょう」
時計を確認すると、もう10時過ぎだった。
「絶対だよ」
「ええ」
渋々といったように身体を離してくれた王子。
ほっとする。
「では王子の部屋に戻りますよ」
「うん」
扉を開けると、手を繋いできた。
このまま一緒に帰れということか。
可愛いな。
ひとまずは王子も安心して行ってくれるとは思うけど、トマスもなるべく早く牢から出してあげたいんだよな。
王子に言ったら神経を逆撫でさせるだろうけど、俺は王子の手を汚すようなことをしてほしくないし、トマスにも俺は悪いと思ってるから。
どうしたものか。
手を繋いだままに移動する。
途中、通りすがった従者たちに驚いたように見られるが、王子に一礼していくにとどまってくれた。
後から噂のネタにされるだろうけど、まあ仕方ないか。
王子の着てるものが使用人のものならまあ、驚きもするし。
帰って着替えから先だな。
「なんだか面白いね」
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