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王子の部屋に、たどりつく。
ノック。
「はい」と、やわらかい返事が返ってくる。
「食事をお持ちしました」
「入ってきて」
扉を開けて食事を運ぶ。
「ありがとう」
笑顔で感謝の言葉を伝えてくれる。
けれど今回ばかりは申し訳なく思う。
「以前までも、仕事のうちでしたし。それよりも前は配膳も放ったらかしにしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
深く頭を下げる。
「構わないよ、僕が追い詰めてしまったんだから」
「そんなことは気にしないでください。それより私が居ないあいだ、配膳してくれてる方が王子の体調を心配してらしたよ。私も心配です」
「うん。悪かったとは思う。これからはマーツが居てくれるなら安心して食べれるはずだよ。
食が進まなったのは配膳の方のせいじゃないのだし、伝わればいいのだけれど」
「では今度私も言っておきます。が、王子も合う時があれば直接話してあげてくださいね」
「うん、そうする」
「では先ず食事にしましょう」
「うん」
王子の柔らかい笑みで安心する。
自然に柔らかい笑みを返すことが出来る。
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