2人が本棚に入れています
本棚に追加
幼い頃、誰だって一度は夢みるものだ。大きな家に住み、自分だけの部屋を持つという夢を。それは、この子達も例外ではなかった。三人の子供は学校の帰り道に見かける豪華な屋敷を柵越しに眺めながら、同じことを考えていた。
「俺達もいつかは、こんな大きな家に住んでみたいよな」
「そうだな。大きな家に住んで、自分だけの部屋を持つ。これ以上の贅沢はないだろうな」
「そうだ!せっかくだから、競争しないか?」
「競争?何だよ、突然?」
友達の一人、突然の提案に二人は不思議そうな顔をする。こんな時に、かけっこでもしようというのだろうか。
「勘違いをするなよ。競争といっても、かけっことかじゃない。数十年後、誰が一番、大きな家に住み、自分だけの部屋を持てるようになるかっていう競争だ」
「そういうことか・・・。おもしろいな!それは!」
「ああ。だったら、当然、俺が一番だろうな」
何の根拠もなく一人が言った。それを、他の二人が、
「何を」「やれるもんならやってみろ」
と、茶化した。
そんな、子供の頃の他愛もない会話であった。
最初のコメントを投稿しよう!