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「エンジン音から京王線を走る特別車両だと分かる。そしてカタタンではなく、カタタタンというやや長いリズム。車輪の数が普通より多いとわかる。そして音の反響。小さな鉄橋を走っていると特定できる・・・」
「あ、そうですか」
その知識は私には使いこなせないからそれ以上聞いても意味がない。
鉄ヲタで良かったねとしか言えない。
「このあと依頼人に報告書と請求書を渡すことになっているんだ。来たら買ってきたコーヒーを淹れてくれ」
自分が買ってきたコーヒー豆が役立つ。
そんなことでも嬉しいものだ。
まもなく依頼人がやってきて、泣きながら曳野に何度も「子どもを見つけてくれてありがとうございました」と頭を下げた。
それを見た私は探偵になりたいと改めて思った。
そして曳野を見直した。
鉄ヲタと馬鹿にしたことを反省した。
第一話 終わり
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