二両目 記憶を探して

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車は汚い線路跡の近くに停まった。 曳野は地図を確認した。 「ここが起点だな」 「この山の中を行くの?」 ハミちゃんは嫌そうな顔で言った。 目の前には雑草が生い茂り、行く手には藪が広がっている。 「会沢線は全長わずか4.2kmしかない。すぐ見付かるよ」 「靴が汚れちゃう」 ハミちゃんは靴が汚れることを心配している。 だったらついてくるな。 曳野は優しく言った。 「いけるところまでは車でいくから、座っていればいいよ」 私に対する接し方と違う。 ちょっとモヤモヤする。
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