二両目 記憶を探して

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家はボロボロで今にも崩れそうだが、そこにあるだけでいい。 「ああ、ここから見た景色は間違いなく小さいときの記憶のままだ」 鈴木さんは家の前に立ち、嬉しそうに景色を眺めた。 「これで心残りが一つ減りました。間に合ってよかった・・・」 涙を流して「ありがとう」と曳野に何度も感謝した。 医者から余命を宣告された鈴木さんが、自分の育った家をもう一度見ることが出来た。 私は思わずもらい泣きした。
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