一両目 出会い

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道端に貼られた住所表示を見ながら探すと、ようやくそれらしき古いマンションを見つけた。 「・・・ここ?」 マンションには “曳野探偵事務所” と書かれている看板が掲げられている。 中に入ってドアの前まできた。 また看板があったが、この看板は電車の形をしていた。 探偵事務所っぽくないが、でも間違いないだろう。 インターホンらしき赤いボタンがドアの横にあったので押した。 “♪ チャラチャンチャララン、チャララアラー、チャラランチャララン、チャラチャンチャンー” 「?」 どこかの駅で聴いたことのある音が流れた。 『“ピンポーン”じゃないの?』 「どうぞ」 中から男の声がした。 「失礼します」 緊張しながらドアを開けると、そこには電車の車掌がいた。 「・・・」
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