一両目 出会い

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「料理できる?」 いきなりその質問とは! やはり家政婦を求めているようだ。 「多少は」 「じゃあ今日からお願いしようかな」 「・・・」 こんなことでいいのか? 何となく期待されていないと感じた。 「僕は曳野鉄。この探偵事務所の所長だ」 車掌は・・・もとい、曳野探偵はようやく私に自己紹介した。 所長と言ってもスタッフはこの人一人だ。 「君は宇佐美操だからあだ名はウサミミだろ」 「はい」 曳野は「そうだろう」と満足気だ。 「・・・」 相槌を返す気力も湧かない。 私は小学校からそのあだ名で呼ばれている。 当てても何の自慢にもならない。 『この人、何歳だろう?』 所長というからにはおじさんだと思っていた。 目の前の男は童顔のせいか年齢不詳にみえる。 でも少なくとも20歳は越えているだろう。 いくら童顔でもまだ16歳の私から見れば20歳以上はおじさんだ。 ちょいイケメンだが、松田ショータには似ていない。
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